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民泊 | 公開日

旅館業(簡易宿所)と民泊新法の違い|どちらを選ぶかの判断軸

2つの制度の概要

空き家や空き室を宿泊に使いたいと考えたとき、主な選択肢になるのが「旅館業(簡易宿所営業)」と「住宅宿泊事業(民泊新法)」です。どちらも宿泊サービスを提供する点は同じですが、法律上の位置づけや、必要な手続きが大きく異なります。

旅館業は、旅館業法にもとづいて、都道府県などから許可を受けて営業する制度です(2026年10月時点。出典:厚生労働省)。簡易宿所営業は、その中の一つの営業形態で、宿泊する場所を多数人で共用する施設などが該当します。一方、住宅宿泊事業は、住宅宿泊事業法(民泊新法)にもとづき、都道府県などに届け出て、住宅に人を宿泊させる事業です。

住宅宿泊事業では、年間に宿泊させられる日数の上限が180日と定められています(2026年10月時点。出典:観光庁)。旅館業では、この日数の上限は設けられていません。ただし、制度の細かい要件や運用は変更される可能性があるため、最新の内容は観光庁や厚生労働省の公開情報で確認してください。

民泊の制度全体の整理は、滋賀で民泊を始めるにはで解説しています。この記事では、2つの制度のどちらを選ぶかという判断に絞って整理します。

手続き・要件の違い

2つの制度の違いを、主な項目で並べると、次のようになります。

項目 旅館業(簡易宿所営業) 住宅宿泊事業(民泊新法)
手続き 許可を受ける 届出を行う
窓口 都道府県などの保健所 都道府県などの担当窓口
営業日数 上限の定めなし 年間180日が上限
建物の要件 構造設備の基準を満たす必要がある 住宅として使える設備があること(消防法令への適合も必要)
用途地域 地域によって営業できない場合がある 住居専用の地域でも可能だが、条例による制限がある場合がある

旅館業の許可では、客室の面積、換気や採光、衛生面の設備など、構造設備の基準を満たす必要があります。あわせて、消防法令や建築基準法などの規制も関係します。既存の空き家を使う場合、改修が必要になることがあり、その費用や期間が判断に影響します。

住宅宿泊事業は、許可を受ける旅館業に比べて、届出で始められる分、手続きの負担が軽いとされます。一方で、消防法令への適合や、届出住宅である旨の標識の掲示、宿泊者名簿の作成、周辺住民への配慮など、事業者に求められる事項があります。家主が不在になる場合は、住宅宿泊管理業者への委託が必要になることもあります。

自治体によっては、条例で、民泊を営業できる区域や期間などを上乗せして制限している場合があります。計画する物件の所在地で、どの制限があるかを、事前に確認することが重要です。

運営面の違い

手続きだけでなく、運営にかかわる違いも、選ぶ判断材料になります。

営業日数の上限がある住宅宿泊事業では、年間を通じて宿泊に使えるのは最大でも180日です。残りの期間は、宿泊に使わない形になるため、収益の見込みは、この日数の範囲で考える必要があります。旅館業では日数の上限はありませんが、その分、通年で運営する前提で人手や管理の体制を考えることになります。

運営面で比べておきたい点は、次のとおりです。

  • 清掃や宿泊者対応を、自分で行うか、外部に委託するか
  • 宿泊者が増えたときの、近隣への配慮と苦情への対応
  • 初期の改修や設備にかかる費用と、回収の見込み
  • 稼働日数の見込みと、年間を通じた収支の考え方

収益は、立地や時期、宿泊料金、稼働率によって大きく変わります。どちらの制度を選んでも、収益が確実に得られるとはいえません。費用と収入の見込みは、控えめに見積もり、余裕を持って計画することをおすすめします。

土地や建物を宿泊以外の用途も含めて考える場合は、滋賀の土地活用ガイドで、ほかの活用方法との比較の視点を確認できます。

向いているケース

どちらの制度がよいかは、物件の状況と、所有者の考え方によって変わります。判断の目安を、一般的な傾向として整理します。

  • 住宅宿泊事業が合いやすいケース:まずは小さく始めたい、改修の負担を抑えたい、年間の一部の期間だけ運営できれば足りる、自宅の一部や空き室を活用したい
  • 旅館業が合いやすいケース:通年で運営して収益を確保したい、宿泊を継続的な事業として行いたい、必要な改修を行う意思と資金がある

ただし、物件が所在する地域の用途地域や条例、建物の構造によっては、希望する制度を選べないこともあります。気に入った制度があっても、まずは、物件がその制度の要件を満たせるかどうかを確認することが先になります。

また、分譲マンションの一室で運営する場合は、管理規約で宿泊事業が禁止されていることがあります。賃貸物件を使う場合も、貸主の承諾が必要です。制度の確認と並行して、規約や契約の内容も確かめてください。

制度の選び方に迷ったとき

2つの制度の違いを理解しても、自分の物件でどちらを選ぶべきか、判断に迷うことは少なくありません。迷ったときは、次の順番で整理すると進めやすくなります。

  • 物件の所在地で、民泊に関する条例や用途地域の制限を確認する
  • 建物の状態を確認し、旅館業の基準を満たすための改修の要否を把握する
  • 運営の方法(自分で行うか、委託するか)と、想定する稼働日数を決める
  • 初期費用と運営費用を見積もり、収支の見込みを複数のパターンで試算する

制度の確認先は、観光庁、厚生労働省の公開情報のほか、滋賀県の住宅宿泊事業や旅館業の担当窓口(保健所を含む)です。個別の物件がどちらの制度に適合するかは、窓口で事前に相談できます。

民泊に関わる法律や制度の基礎は、不動産・住まいに関わる制度と法律の基礎知識でも確認できます。

制度の確認は公的機関が中心になりますが、手続きを任せる事業者を探す段階では、ページ内の相談窓口もご利用いただけます。

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