相続手続きの全体の流れ
ご家族が亡くなられたあとは、気持ちの整理もつかないなかで、さまざまな手続きが重なります。不動産の相続は、期限のあるものと、時間をかけて進められるものがありますので、全体の流れを知っておくと、落ち着いて進めやすくなります。
おおむね、次の順番で進みます。
- 遺言書の有無を確認する
- 相続人を確定する(戸籍などで調べます)
- 相続する財産を調べる(不動産、預貯金、借入など)
- 相続するかどうかを判断する(相続放棄などの検討)
- 相続人どうしで、遺産の分け方を話し合う(遺産分割協議)
- 不動産の名義を変える(相続登記)
- 相続税の申告・納付が必要か確認し、必要な場合は手続きを行う
遺言書がある場合は、その内容に沿って手続きを進めます。自筆で書かれた遺言書(法務局で保管されているものを除く)は、開封する前に、家庭裁判所での「検認」が必要です。公正証書で作られた遺言書には、検認は不要です(2026年10月時点。出典:裁判所)。制度は見直されることがありますので、最新の内容は家庭裁判所でご確認ください。遺言書を見つけたときは、開封せずに、手続きについて家庭裁判所や専門家に確認してください。
相続人の確定には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を集めて調べます。相続する財産は、固定資産税の納税通知書や、登記に関する書類などから、不動産の所在や名義を確認します。思いがけない不動産や、借入が見つかることもありますので、財産と負債の両方を丁寧に確認しましょう。
戸籍の取り寄せは、本籍地が何度も変わっている場合などに、手間がかかることがあります。取得の方法や窓口は、本籍地の市町や法務局で確認できます。必要に応じて、専門家に取得を依頼できる場合もありますので、時間に余裕がないときは相談してみましょう。
相続を放棄したい場合などは、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります(2026年10月時点。出典:裁判所)。制度は見直されることがありますので、期限が近い場合や最新の内容は、早めに家庭裁判所へ確認してください。
相続登記について
相続登記とは、不動産の名義を、亡くなった方から相続した方へ変更する手続きです。相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続(遺言を含む)で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。2024年4月1日より前の相続で、まだ登記をしていないものは、2027年3月31日までに申請することとされています(2026年10月時点。出典:法務省)。
期限や過料、遺産分割がまとまらない場合の「相続人申告登記」の詳しい内容は、相続登記の義務化とはで解説しています。個別の事情に応じた手続きは、法務局や司法書士にご確認ください。
税金の基本
不動産の相続では、主に次の税金が関わります。
- 相続税:相続した財産の合計が一定の金額を超える場合に、申告・納付が必要になります
- 登録免許税:相続登記を申請するときにかかる税金です
- 固定資産税:毎年、不動産の所有者にかかる市町の税金です
- 譲渡所得にかかる税金:相続した不動産を売却して利益が出たときに、課される場合があります
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月目の日です。休日や土曜に当たるときは、その翌日になります(2026年10月時点。出典:国税庁)。申告が必要かどうかは、財産の内容や相続人の状況で変わります。税率や特例は変わることがありますので、国税庁の公開情報や、税務署、税理士にご確認ください。
不動産の活用・売却の選択肢
相続した不動産をどうするかは、ご家族の状況によって変わります。
- そのまま住む:ご自身やご家族が住み続ける
- 売却する:換金して、相続人どうしで分けやすくする
- 賃貸する:貸し出して、家賃収入を得る
- 管理を続ける:当面は、定期的に管理して維持する
遠方の実家や、使う予定のない家は、空き家になりやすい点にも注意が必要です。空き家にした場合の選択肢は、滋賀の空き家をどうする?で整理しています。売却をお考えの場合は、滋賀で不動産を売却する流れと注意点も参考になります。
共有・名義の注意点
相続人が複数いる場合に、不動産を「共有」にすることがあります。ただし、共有には次のような注意点があります。
- 売却や、建物の形状・用途を大きく変える工事には、共有者全員の同意が必要になるため、意見が分かれると進まなくなる
- 共有者の一人が亡くなると、さらに相続が重なり、関係者が増えていく
- 連絡がつかない共有者がいると、手続きが難しくなる
共有にしたあとで、「やはり売りたい」「建て替えたい」と考える方が出てきても、全員の意向がそろわないと動けない場合があります。
将来の負担を軽くするために、可能であれば、早い段階で分け方や名義を整理することをおすすめします。遺産分割の話し合いが難しいときは、家庭裁判所の調停という方法もあります。
話し合いが止まってしまったときは、まず連絡の窓口になる方を決め、論点を「売るか、持ち続けるか」に絞ってみると、整理しやすくなります。話した内容は書面にまとめ、必要に応じて、専門家に加わってもらう時期も考えておきましょう。ご家族の気持ちを大切にしながら、無理のない進め方を選んでください。分け方の選択肢は、遺産分割の方法と、不動産を分けるときの選択肢で整理しています。
専門家への相談の進め方
相続は、手続きの種類が多く、相談先も分かれます。
| 内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 不動産の名義変更(相続登記) | 司法書士、法務局 |
| 相続税の申告、税金の相談 | 税理士、税務署 |
| 遺産分割がまとまらない場合、法的な問題 | 弁護士、家庭裁判所 |
| 不動産の売却や活用 | 不動産会社 |
最初の一歩として、亡くなった方の不動産の所在と名義、家族の状況をまとめておくと、相談がスムーズです。ご家族の気持ちを大切にしながら、無理のないペースで進めましょう。相続のほかの記事は、不動産相続の記事一覧からご覧いただけます。
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